【イケハヤ】FXの仕組みを知らない ~差金決済~
イケハヤ氏は投資をすすめる記事をよく書いているのですが、システム・ルールをよく分かっていないということを何度か指摘してきました。
昔からある「空売り」を知らなかったり、追証とロスカットの正しい説明ができなかったり、などです。
さらに「資産は海外に分散」「日本円はヤバいので、他のものに替えている」とイケハヤ氏が言っているのを見かけました。
ここでFXで豪ドルを買っていることをその例に出していました。
ああ、この人はFXをすすめておいて、その仕組みを知らないんだなということがバレバレです。
両替は外貨を買っている
日本円がヤバいので、例えば豪(オーストラルア)ドルで資産を保有しておこう!と思ったら、手っ取り早いのは旅行代理店や銀行などで外貨両替をすることです。
これでオーストラリアの通貨を得たので、オーストラリアで物が買えます。
これなら「日本円以外に資産を替えている」状態です。
通貨の両替は、日本円で外貨を買っていることと同じ。
また、紙幣・貨幣の現物を調達したり管理することにはコストがかかるので、両替時に手数料がかかります。適用レートもキャッシュレスの移動(クレカ支払いや口座振込)とは異なっていたりします。
外貨の取り扱いで上乗せされる手数料や、売値と買値の価格差(スプレッド)が変わる(コストが変わる)という点も重要です。
この買う(=両替)という行為はタイミングによってレートが変わります。
1豪ドルが90円で買えることもあれば、70円のこともある。
その動くレート(交換比率)を利用して、交換タイミングの差額を得ようとすることがたくさんの金融商品になっています。
FXもその一つです。
しかし、FXはレートの発生した差額のみを利用している取引で、「両替=外貨を買う」という行為は行われていません。
FX(外国為替証拠金取引)は、差金決済という取引の一種です。
先物取引も差金決済です。
現物を用意するのにかかるコストが必要のない取引だからこそ、現物取引よりもずっと安いスプレッドが実現できます。
FXを勧められるとき、銀行の外貨預金の手数料の高さを悪者にされるのですが、銀行の外貨預金は現物の両替と同じです。
外貨のまま受け取ることが可能です。
※すべての通貨の在庫が全ての支店で用意されているわけではないので受け取りたい場合は先に支店に電話して応相談とのこと。米ドルはたいていOKらしいです。
差金決済は現物の外貨を保有してはいない
FXでどんなに豪ドルを買っても、それは「買い注文」という注文やポジションを持っているだけで、豪ドルそのものは持っていません。
「買い注文」のままでオーストラリアで買い物はできないし、豪ドルで引き出すことはできない。
FXで決済の時は日本円で受け取るしかないのです。(日本の取引所だし)
もし彼の言うように「日本やばい」となって海外に行こうとなった際、FXなら「やばい日本円」で差額を支払ってもらい、その「やばい日本円」で外貨の現物を買わなければいけません。
海外資産じゃないですね。
ちなみに海外証券会社でFXはどうなるかは柳メロンパンは知りません。
予想では、現物の外貨を交換した後に取引を開始するんじゃないかな~とは思ってますが。今回は日本の取引所の話なので割愛。
正しいことを書いているサイト
差金決済とは?-FX用語を分かりやすく解説 | OANDA FX Lab-education(オアンダ ラボ)
FX投資がギャンブルになりやすい理由 差金決済取引に潜む投機の罠 | マネーの達人
現物取引と信用取引
昔から投資をしている人は、現物取引と信用取引の違いを知っているでしょうが、この概念が投資をしていない人には分かりづらい。
差金決済は信用取引に含まれます。
「現物取引」と言っても、物質そのものを受け渡しすることを指してはいません。例えば株券は紙という物質・物体での取り扱いは廃止されて、電子化しています。
株券の紙を渡したりするということは無いのです。
口座間でお金をやり取りする時も、紙幣や貨幣を実際に運んではいませんが、現物が移動していることになります。
物理的にあるかないか、ではなく、保有していれば「現物」という感じでしょうか。
株式取引には、現物と信用があり、現物では差金決済は禁止されています。
今、盛んになってきているキャッシュレス化もそうですが、実際の紙幣・貨幣のやりとりをせずとも買い物ができます。
クレジットカードの場合は、一旦自分の信用でもってお金をクレカ会社が建て替え、のちほど自分の口座から引き落としされます。
クレカ会社が一旦信用取引に応じ、のちほど現物取引に収束するという説明であってるかな?
・・・・ややこしいな。
だんだん自信なくなってきた。
クレカで買い物するのも実は借金扱いなんですよ。引き落としまではクレカ会社への借金として扱われます。
信用取引は、「権利や金やブツそのものを借りて行う取引」・・・もうざっくりと借金だって覚えておいてもいいくらいです。
イケハヤが何度も「FXは借金じゃない!」と言い張っているのを、僕が「嘘だ!違う、FXは借金と大差ない」と言っていたのは、この現物取引ではないことを知っていたからです。
株の現物取引で差金決済は禁止されている
FXよりずっと歴史の古い株式の取引では、現物取引での差金決済は禁じられています。
詳しくはぐぐってみてください。
と、そこで投資を知ってる人にはすぐ分かります。
FXは差金決済だから、現物のやりとりはしていないんだな、と。
しかし、知らない人はこういう勘違いをするわけです。
FXは外貨を扱っているから、日本円ではなく海外資産を持っているのだ!ってね。
「貯金は、日本に投資しているのと同じ」ということを理解してますか? : まだ東京で消耗してるの?
思った以上に間違っているサイトが多かった
イケハヤ氏のいう投資は、例えば教育や設備にお金を投じる「投資」ではなく、金融商品を現金で買ってそのリターンをまた現金で得ることです。
楽して金を増やそう!というのが売りコンセプトで、それを追求するのはコンテンツとして別段構わないのですが。
「楽して金なんて儲けられない!」という漠然とした反対意見やいさめる声も大きい。
僕はブログやらアフィリエイトで稼ぐということは全く分からないのでこの「楽稼」もあるのかな、個人の能力によるだろな、程度の感想しか抱きませんが。
金融商品の「楽稼」については断固否定させていただきます。
冒頭で言った通り、イケハヤ氏自身が間違いを起こしていることや勘違いしている・・・それそのものが答えです。
また、今回この記事を書くために調べてみましたが、FXの仕組みを「外貨を買っている・保有している」という勘違いを流布している記事がたくさんありました。
正確には「買い玉を保有」しているだけですよ。
実際の外貨の現物やりとりをしているなら、売り(=ショート)の取引きはできないでしょうよ・・・。
その違いの分からない人にネットでもって情報が拡散され、ネットでもって簡単に取引が開始されているんですね。
このように金融商品は取引の種類が様々で、ルール・システムがとてもややこしいのです。
現物取引の概念は普通の消費活動である購買と同じようなものですが、信用取引(差金決済もこれの一種)が難しい。
難しいうえにハイリスクなんです。
初心者が、ルールを知らないゲームに参加して勝つということが以下に無茶なことか。そのルールを説明せずに「リスクの説明全部なんてできませんよ~」と開き直る、初心者の欲望をあおって金融商品をすすめるイケハヤ氏を、これからも追及します。
※差金決済についてはまた後日記事を改めて説明します。
また、実際に銀行に聞いてみた結果、外貨預金との比較も間違って流布されていることが見受けられたので、それも含めて記事にします。
追記:2018年12月1日 ↓ 書きました。