【IRって何?】マックスむらいの言葉と、当時のIR・適時開示の比較
今日、マックスむらい氏が「横領事件で叩かれた理由」を語るインタビューを読み、「被害者なのに叩かれた」論調にとても違和感がありました。
当時、やまもといちろう氏が公開質問状を送ったり、重大な疑惑についてやりとりをしていたことをリアルタイムで見ていたからです。
- 叩かれたのは「楽に稼いでいると思われた」
- 市場や株主に状況を説明する責任
- IRや適時開示とは
- IR発表時期をチャートを交えて見てみよう
- 客観的にIRを見ていうならば
- AppBank(株)現在の株価
- 上場企業の人たちの発言はIRで裏を取ろう
僕が、「当時の話と違うんじゃないか」と思う部分を挙げていきながら、
その根拠、裏付けとなる
IR(アイアール:投資家への広報的なもの)
=適時開示
を紹介したいと思います。
IRって何ぞや?
僕も定義はしっかりとは答えられませんが・・・
まあ、例えば今回の、マックスむらい氏の言葉の真偽を確かめる過程で僕がIRをどう使うか、伝えてみます。
がんばれメロンパン。
叩かれたのは「楽に稼いでいると思われた」
2019年1月4日の記事
上記のリンクから引用 ↓↓
このやりとりの前に「上場時が天国」として挙げていたので、たった2ヵ月天国を味わっただけで地獄への転落です。
後述しますが、
「11月下旬の税務調査の過程において、当社の支払先のなかで所在の判明しない取引先が」
とIRにあるので、実質1ヵ月半です。
この期間の短さと、額のデカさ、1億4千万円というのがひどかった。
なんで上場時の審査で巨額の横領が誰にも分からんかったんだよ!
上場前の年度の売上高が約30億、純利益が2.8億なんで、
1年間の利益の半分横領されてて
気づかない会社って??!!
上場直後に税務署に速攻バレてるし。
上場審査は厳しいはずなのに、
本当に気づいてなかったのか?!
分かってて上場させてしまえ!と、社内で黙ってたんじゃないのか?と疑われていたわけです。
当たり前やっちゅーねん。
「ひどい・・・むらいさんは被害者なのに」
うん、まあ・・・。
確かにそれはそうなんだけど、マックスむらい氏は所属タレントとかじゃなく、AppBankの取締役なんで経営者の一人なんですよ。
責任者側なんです。
その横領をした元役員と一緒に経営に関わっていたのに不正を見落としていた。
しかも主犯格の経理の役員に内部監査の役員までも協力して不正送金やってた。
犯人たちも経営者側だったんだから、AppBankの一部、相当責任のデカい立ち位置の人間が犯罪やってたのが発覚して、批判されない訳が無い。
一番損したのは、上場直後にAppBankの株を買った投資家です。
被害者は投資家たちのほうじゃない?
株価ダダ下がりなだけでなく、反社がらみの疑惑と上場時の虚偽記載で「上場廃止」がチラついてきたからです。
やっべぇ!たった数か月で株がゴミになるなんて!
「楽にお金を稼いでいると思われていたんです。」
この後も「やっかみが生まれる」などと、一方的に叩かれた的な主張が。
大勢の人の心に巣食うポピュラーな妬みが原因ですか?
確かに炎上に乗じてそういう輩もいるだろうが。
おいおいおい、自分の経営者としての責任はまったく触れずか。
「当時、投資家の方々にも迷惑をかけ・・・」程度の言葉もなかったぞ。
その横領が反社(暴力団)に流れたんじゃないかっていう上場廃止がかかった重大な疑惑があったのに、その件をスルーしようとしたからやまもといちろう氏に追い打ちかけられたんだろ。
結局それも無視してた。
しかしAppBankが出した調査報告の
IRの中で、横領犯が恐喝されていたことは認めているんですよ。
調査報告書より
マックスむらい氏は当時、twitterやYouTube上で疑惑を否定する発言をしましたが、AppBank(株)として 正式なIRで 釈明や説明が遅かったのです。
市場や株主に状況を説明する責任
やまもといちろう氏は当時、マックスむらいファン(おもにキッズ)にクソリプばんばん送られて、深夜までそれに返事を返す千本ノックをやってました。
「ひまだなー」ってなクソリプに対して「お前も大人になったらこうやって怒ってるキッズの相手をしてやれよ!絶対だぞ!」って返しをしていたと記憶しています
。
体張って睡眠時間削って事情が呑み込めないがとりあえず悪口投げ付けにくるキッズ達の絡みに答える氏にほっこりしました。
当時のやまもといちろう氏のアカウントが凍結されてるんでお見せできなくて残念。
まぁ・・、個人的には、キッズに「株価がー」なんて言ったって分からないんで、本来むらい氏側が
「責任はAppBankにもあるし、大人の世界の話だから、安易にやまもとさんにクソリプ送るな」
くらいのこと言えよって思いますよ(それは見かけてない)
こういう経緯があり、やまもと氏は「なぜむらい氏が批判されるのか」を子どもにもわかるような言葉を選んで書いてます。
「むらい君を嫌いで批判してるんじゃないよ」って。
【追記あり】AppBank社への公開質問状(暴力団がらみ)(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
なぜAppBank社が責任を問われるのかというと、AppBank社は株式をマザーズ市場に上場している企業だからです。つまり、AppBank社は、投資家からお金を集め、適切な経営のもと事業拡大し、利益を上げていますよ、だから皆さんAppBank社の株式を買ってくださいね、投資してね、という立場です。誰かが好きか嫌いかではなく、投資家からお金を出してもらって経営している上場企業は、市場や投資した株主に対して状況を説明する責任があります。
今回のように、このAppBank社の役員が不正をしていました、ということであれば、AppBank社は速やかに投資家に謝罪をし、実態の調査を行い、仕事の仕方の改善をしなければなりません。
この「状況を説明する」のに使われるのがIRや記者会見。公式発表です。
上場企業のHPはたいてい投資家に向けて「IR」が格納されているページがあります。
IR:投資家向けの広報・案内、決算なども含む
また、「投資家向け広報の担当者や部署」のことをIRと呼ぶ場合もあります。
例)「IRに電話した。」
適時開示:IRと同じ意味っぽい
僕の見た感触だと、企業は「IR」と言い、取引所では「適時開示」「開示」と呼んでる感じがしますが、役割はおんなじことかな。
決算、有価証券報告書、適時開示が見れるサイト
IRという公式発表がまだなのに、他のSNSでその件について釈明したむらい氏は経営者として軽率過ぎます。
twitterでむらい氏のアカウントをフォローしていなかったり、常時YouTubeを見ていない投資家にはその情報は行き渡らないからです。
SNSツールの使用の有無によって情報を知るタイミングが変わるというのは不公平。株価は夜間にも時間外取引をしている業者もあり、そういった情報で株価が動くこともあります。
また、IRは取引所のルールによって虚偽や誤解を招く表現もダメとなっています。
SNSやら雑誌のインタビューなら「言い方を盛る」のができても、IRはそれができないんです。
だから、「IRでやれ」っていわれてんの
IRや適時開示とは
ここに ↓↓ ずらずらーっと100個以上、会社が開示しなければいけない情報の例が羅列されてます。
早い話が、
「市場・株価や投資家に影響があることは、それが起こった時に速やかに開示(公式発表)してね」
ということ。
「開示の適正性」
タイミングが適切か
嘘じゃないか
隠していることはないか
誤解されるようなものではないか
当たり前の事ですが、開示はこういうものでなければいけないと示されています。
嘘や誤解されるような開示は、東証に怒られたり改善を要求されます。
また、先ほどやまもといちろう氏が追求している「反社会的勢力の関与」が認められると一発上場廃止もあります。
これらのルールを守れないと、東証から「特設注意市場銘柄に指定」を発動されたりします。これは「上場廃止とまではまだいかないけどそれに近いよ」と東証に認定されている状態です。
これは大きく株価を下げます。
このIRは、取引所の情報閲覧サービスで開示と同時に見られるだけでなく、勝手に削除したり、内容を改変したりもできません。
内容に齟齬があった場合は別のIRで修正内容を開示しないといけません。
SNSのように「消して逃げる」ということも無理です。
IR発表時期をチャートを交えて見てみよう
※クリックするとデカくなります ↓
2015年10月15日 上場初日に不祥事の発表・・・。
横領が発覚するたった三日前に警察のご厄介になってる。
2015年12月10日
AppBank 社内管理ガバガバやんけ!
データ流出さすわ横領されるわ、どんな管理体制やねん。
投資家たちは「上場前からこれだけ大きな横領があったのになぜ気づかなかったのか」監査法人と主幹事もアホかと、言いたくなるわけですよ。
111ページの大作。
でもいくつか「肝心の情報が無い」とやまもといちろう氏につっこまれる。
【修正あり】AppBank社、元役員の横領金の流出先に「暴力団関係者」の疑い 調査報告書に記述せず(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
「一部メディア」はやまもといちろう氏のこと。
不正送金は、本来は不要な業者への支払いというテイで行われていたので、それに関わるお金の部分を全部修正、利益がもっとあったということになるので税金も追加で払わないといけない。
遅いわ!なんで「速やかに刑事告訴」と発表した③から4ヵ月も経ってんの。
AppBank、赤字に転落 元役員の不祥事で「風評被害」 - ITmedia ビジネスオンライン
客観的にIRを見ていうならば
そ の 理 由 は
・架空の費用の計上や不正送金に何年もAppBankは気づかず、
その経営者のうちの一人でした。
・疑惑をSNSで釈明するなど、ファンへのメッセージや宣伝と混同し、
投資家への説明が遅かった。
・結果的に反社会勢力との関わりは否定されたものの、上場時の前後の
決算に虚偽があったことは事実で、脱税状態でもあった。
以上の理由で、批判を受けて当然であり、
会社の調子が良かった時は役員であることを持ち出して、悪くなったら「YouTuber」としての「やっかみ」ですか。
僕は彼のことを全然知りませんでしたし、動画も一度も見たことありません。
やまもといちろう氏ともめたから名前を知ったんです。
上場時にAppBankの株を買った投資家は、無論、内情など知り得ませんので、この横領発覚時の疑惑と不手際で大損しているでしょう。
AppBank(株)現在の株価
うわぁ・・・。
上場直後は数千円(一時5,000円)の値をつけた株価が、今200円・・・。
でも横領発覚してその後クソ決算出した直後でも700円くらいあったので、今はそれよりひどい3分の1。
横領以外にもデータ外部流出とかデザインパクリ疑惑とかGACKTコインに手を出して爆死とか、多彩な理由がそろってて、もう。
風評被害を主張していましたが、盛り返すどころか当時よりも
株価が下がってるって 実力ですよね。
投資家の判断のほうが正しい。
『ベンチャーのスピード感』を『多少のインチキをしてでも手っ取り早く稼ぐ』に都合よく解釈してる会社は結構多いよな
— ボヴ (@cornwallcapital) December 21, 2016
上場企業の人たちの発言はIRで裏を取ろう
IRに嘘は書けない
IRは誤解を招く表現ではいけない
IRは簡単に取り消せない
SNSやインタビューで企業の方々が発信している内容は、企業の投資家、つまり出資者でお金出してるスポンサーに向けて出すIRで確認をとってみたらどうでしょう。
ついさっきもZOZOの前澤氏のツイートと、オンワード側のIR(会社としての正式見解)に食い違いがあるというのを見かけました。
↓ この場合のIRは部署のことでしょう。
ZOZO前澤氏のツイートだけど、オンワード出店取りやめの記事ですでにIRからの返事もらってて、普通に「退店」って返事きたけど。。ニュアンス的には非表示よりも撤退の方が近くないかい? pic.twitter.com/NgvJ5zF6Wg
— てんてん@専業トレーダー (@tenten19751) January 5, 2019
確かにお堅い文章ですが、そのお堅さ、事実を間違えてかけないが不都合なことはできるだけふわふわ書きたい!というせめぎ合いや、ある種のあきらめ、時にはヤケクソ感がIRの中で見れます。
例えばここで紹介されているIRには「死体遺棄の容疑で警察に逮捕」とかどストレートな発表もあります。
「誰かが言った。IRは文学であると。」
キャッチコピーもお気に入り。
以上、IRのススメでした!
AppBankの「横領についての111ページの報告書」の内容が興味深かったので、次回はその内容の感想で記事を書きます。
書きました。
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